第347回定期演奏会

第347回定期演奏会

定期演奏会

2008.5.16 (金) 6:45pm / 17 (土) 4:00pm

愛知県芸術劇場コンサートホール

出演

  • 金聖響 (指揮)
  • ジョゼフ・アレッシ* (トロンボーン)

プログラム

<ツァラトゥストラ2-隠れた世界>
1. ハイドン: オラトリオ『天地創造』 Hob.XXI-2より
第1曲「混沌の描写」
2. ケクラン: 管弦楽のための夜想曲『星降る天穹に向かって』
作品129〈日本初演〉
3. ロータ: トロンボーン協奏曲*
4. マルタン: トロンボーンと管弦楽のためのバラード*
5. シベリウス: 交響曲第5番変ホ長調 作品82

 

<ティエリー・フィッシャーからのメッセージ>

宇宙の神秘への答えを求めて、まずはハイドンの『天地創造』による混沌から生命誕生までの崇高な描写から始めます。次のケクランの『星降る天穹に向かって』は、その暖かく親密でロマンティックな音楽が、広大な宇宙の魅力と神秘のイメージを我々に見せてくれます。その後、ノスタルジックなロータのトロンボーン協奏曲と、それとは対照的なマルタンのジャズ風のバラードという、2つの素晴らしいトロンボーンとオーケストラのための作品をはさんで、最後はシベリウスの極めて祝祭的な交響曲第5番で締めくくります。

料金

S席¥6,000 A席¥5,000 B席¥4,000 C席¥3,000
D席¥2,000 Y席¥1,000(24歳以下対象・当日窓口販売のみ)

聴きどころ

公演直前! 名フィル首席トロンボーン奏者:田中宏史が語る、「ジョゼフ・アレッシのここがすごい!!」

-最初にアレッシさんのことを意識したのは、いつですか?
田中:1991年に、僕がアメリカのインディアナ大学に留学した折、セミナーで本人に直接会った時からですね。もちろん、その前から名前も演奏も知っていましたが、初めてナマで聴いて、「これはハンパじゃない!」とびっくりしました。

-“トロンボーン奏者 田中宏史”にとって、アレッシさんはどういう存在ですか?
田中:最高のトロンボーン奏者です。憧れの存在です。

-アレッシさんのトロンボーンの魅力は、どこでしょう?
田中:一言でいうと、「正確無比なテクニック」です。よく、アメリカの金管奏者のことを、「テクニックは凄いけど、大味で音色が単調」と言って好まない人がいます。一般的に言って、ヨーロッパのトロンボーン奏者は、高音と低音で音色を変えます。これに比べて、アメリカのトロンボーン奏者は、高音から低音まで、音色が非常に均一なんです。でも、均一に吹くことはものすごく難しいし、特にアレッシさんは、この点においてスバ抜けています。メカニカルなまでの音色の均一性、そして計算され尽くされたテクニックは、世界ナンバーワンだと思います。

-テクニックがすごいんですね?
田中:でも、テクニックだって極限まで究められれば、そのこと自体が本当に芸術的です。昔、ピアニストのマウリツィオ・ポリーニが出てきたとき、批判的なニュアンスで「テクニックはすごい」なんて言われていましたけど、ポリーニは現在に至るまで、世界最高のピアニストの一人として、誰もが認める存在ですよね。アレッシさんもちょうど同じ感じで、ピアノで言えば、ポリーニのクラスの音楽家でしょう。それと、彼はテクニックだけではなく、もともとイタリア系アメリカ人ということもあって、「歌う」ということを、とても大事にしています。これは、アレッシさんに関して、もっと強調されてしかるべき点だと思います。

-アレッシさんとは、よく会っているんですか?
田中:彼が来日するたびに、コンサートに足を運び、毎回大きなインパクトを受けています。個人的にお話させていただく機会もありますが、人間的にも、とても温かみのある人です。

-今回アレッシさんが吹く、ロータとマルタンの作品について教えてください。
田中:ロータの協奏曲は、海外のコンクールではよく課題曲になっていますが、日本ではまだそれほど一般的ではないかもしれませんね。でも、アレッシさんの祖先の国であるイタリアの作曲家で、映画音楽が有名なとおり、メロディー・メーカーとして屈指の存在です。アレッシさんの「歌」を存分に味わってもらえるでしょう。この曲は、ちょっと耳にすると、結構簡単なように聞こえてしまうのですが、特に終結部なんて、非常に難しいんです。もし簡単に聞こえたとしたら、それこそがアレッシさんのテクニックのすごさの証明です。一方、マルタンのバラードは、トロンボーン吹きであれば誰もが必ず経験する曲で、常にコンクールや試験の必須課題になっています。ジャズ的な要素も入っていて、奏者のセンスが非常に問われる曲です。2曲ともトロンボーン吹きにとってはスタンダード・ナンバーですし、アレッシさんにとっては十八番中の十八番ですから、これはもう聴くしかないでしょう。

-実際、日本全国の金管奏者の注目が集まっています。
田中:そうです。アレッシさんは、こんなに有名な存在なのに、日本ではほとんどオーケストラとの共演機会がないんです。僕の知り合いの、東京と広島のオーケストラのプレーヤーもわざわざ名古屋まで来ますし、「自分のオケの本番と重なっていなければ、絶対に聴きに行くのに!」って嘆いているプロの奏者もたくさんいます。

-実は、アレッシさんは今回、名フィル定期演奏会だけのために来日します。事務局にも、いろいろな団体やファンから、「ほかでリサイタルやらないんですか」とか「マスタークラスの予定は」という問い合わせをいただくのですが、本当に名フィルとの共演だけなんです! 招聘元によると、個人としての次の来日予定も決まっていないとのことですので、今回聴き逃したら、次にいつ聴けるか分かりません!
田中:絶対に聴いてほしいソリストです。多分、トロンボーンに興味がない人でも、衝撃を受けると思います。
(インタビュー・構成:名フィル事務局演奏事業部)

 

名フィルが語る プログラム、指揮者&ソリストの「ここがスゴイ!」

ハイドンの『天地創造』から、珍しく序曲だけ取り上げます。ケクランの『星降る天穹に向かって』は、フィッシャーの強い希望で日本初演が実現。ほとんど知られていない秘曲ですが、「世の中にこれほど美しい音楽があったのか」と思うこと必至の傑作! 映画音楽で有名なロータのトロンボーン協奏曲と、スイスの作曲家マルタンのバラードは、トロンボーン吹きにはたまらないチョイス。シベリウスの最も祝祭的な交響曲である第5番は、北欧の自然の雄大さを感じさせてくれます。
チケット完売続出の人気指揮者 金聖響は、今回が名フィル定期デビュー。名フィル定期史上初のトロンボーン・ソリストとなるアレッシは、ニューヨーク・フィルの名首席奏者で、“神様”と崇めるファンも多い、本物のヴィルトゥオーゾです。

<助成>

zyosei_mark平成20年度文化芸術振興費補助金(芸術創造活動重点支援事業)

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